マイナカードの紐づけのトラブルについて、「マイナカードを紐付ける際に入力を誤ったと考えられる」って説明が多すぎる。
マイナカードに、他の(健康保険など)データベースをリンクさせることを「ひもづける」って言うはずなのに、「入力ミス」なんだと。ってことは、「見ながら打ち込んでた」ってことなんだな。これが本当だとすると、システムを作った会社の不備、技術力のなさではないかい。
学校で考えてみると、テストの結果を観点別に記録しているだろう。それも、Excelとか専用システムでPCに打ち込んで何らかのデータベースにしているはず。
それを、指導要録の記入システムに取り込もうとすると、Excelなんかだと先生によってデータベースの組み方が違うではないか。
それならば、「興味・関心」なら、この部分をリンクさせてね、って設定できるシステムを作らなくては。まさか、その時にテスト結果の合計を打ち出したりして、見ながら打ち込むなんて二度手間はエラーの原因なので「ひもづけ」って呼ばないハズ。
健康保険組合のデータベースは、組合ごとに(システムを作った会社ごとに)違うハズ。それに合わせて読みだしてくるシステムを作ってこそ、「システム上でひもづける」って言えるはず。
昔、図書館の蔵書を近隣の地域で、広域の図書館の蔵書の順次検索をするプログラムを作ったことがある。設置館やシステム開発業者によって違うのを、その館のシステムに合わせてデータを送ってWEB上でレスポンスを待つのだ。
コレをシステム開発業者にさせたら、同じ本だ、と同定しにくかったらしく、「売れ筋の本はちゃんと出ます」ってヌカした。ソレのためのサーバーを設置し、各館のデータを取り込んで独自のデータベースを作ったらしい。何のことはないISBNって本の裏表紙にあるバーコードの番号のついている本のデータだけ同定作業をして、「売れ筋の…」とヌカしたらしい。
図書館って、ベストセラーを無料貸し出しする貸本屋ではない。貴重な資料を探して提供するのが大事な仕事なのだ。だから「〇〇町史」なんてのを遠くの町立図書館から館々貸借で借りたりもする。ところが、ヌカしよったシステムで「□□市史」を検索すると、複数冊所蔵しているはずの当の□□市立図書館には1冊も所蔵されてナイって結果になってしまう。
手作業で同定作業をするからこんなシステム上のミスを招くのだ。これは「入力上のミス」って言うか? システムの欠陥ではないか。
図書館では、民間の業者が作った新刊書のデータベースを購入している。それは、毎週オンラインでダウンロードして、買い取ったものだからと、図書館のサブサーバーに置いている。
新しい本を購入すると、書名とかISBNでサブサーバーのデータベースから読みだして、蔵書システムのサーバーに取り込む。
この作業で、本の表紙の写真、書名、シリーズ名、副書名、ページ数、版型、著者、出版社などなど、そして主な内容まで一瞬で取り込める。これが「ひもづける」なんだけどな。この作業なら、入力ミスってのは起きるハズがない。
一度データを取り込むと、ウチのサーバー上のデータなので、民間の業者の新刊書のデータベースにアクセスする必要はない。
ただ、古い和綴じの貴重な資料とか、ISBNのない自費出版のものとかは、自館データを作らなくてはならない。この新しく作る作業では「ひもづける際のミス」ってのは起きない。
だいたい、マイナカードのシステムって、ふりがなのある住民票、銀行口座の半角カタカナのフリガナ、ローマ字表記のパスポート、健康保険組合のデータなどとひもづけられる仕様になってないってことだ。そもそも、マイナカードにふりがなのデータがないってのは、本気で作ったシステムとは言えなさそう。
漢字氏名、生年月日、住所ぐらいで絞り込んでデータベースにアクセスすると、データベースから返答があり、同姓同名に注意しながら個人を同定すると、ひもづけられるハズなんだけどな。
全国の自治体や、健康保険組合などのデータベースの仕様を集めて、それぞれに対応するプログラムを組むって地道な作りこみをやってないから、本来の「ひもづけ」が出来ないのだ。
広域の図書館の蔵書の順次検索を作った時の問題点は、図書館のシステムは5年位でバージョンアップや、システム変更がされることだ。マイナカードで「ひもづけ」の仕組みを作ると、相手先のデータベースがちょっと変わるたびにシステムを触らなくてはならない。相手先の数を考えると、毎日、相手先のシステム変更への対応をしなきゃならなくなる。
そんな大変なこと出来るか、って、手作業で入力させておいて事務作業上のミスって片付けるのは、デジタル後進国の役所だよな。
指導要録に記録するために、打ち出したテスト集計を貼り付けたエンマ帳を開いて得点を打ち込んでいる、に等しい無駄な作業だ。
完璧なシステムを構築するよりも、2万ポイントあげるからマイナカードを作って、ってお誘いに何か下心を感じる。コンビニで住民票を取り寄せるのが簡単に出来ます、って言われても、住民票を取り寄せるなんてことは、これから先に何度あるだろう。そのためにカードを作れ、ってのは、何を狙ってるんだい?
個人カードの先進国のスウェーデンでは、紙の資料から電子データにした数十年前はエラーが多かったんだって。図書館でも同様に、昔の手書きの蔵書カードから電子データを起こすときにはヒューマンエラーが起きている。
書庫を見回っていて、文豪が記したお宝級の蔵書が目の前にあるのに、検索すると出てこない。何でだろうと調べると、他の26冊のシリーズの蔵書の副本として扱われていた。
やらかしたな、違う本とくっつけてあるってことだ。しゃあない、書誌データをコピーして代表書誌から引きはがして、主な内容も違うので、現物を見ながら新しくデータを作った。
「K長、大変なもんを見つけましたね。それは見つけた人が修正することになってるんです」って言われてしまった。代わってやりましょうか、と言わない所がエライ。何が問題なのかを把握しないと修正出来ないからだ。
手書きの蔵書カードを見ているだけでは同じ本かはわからない。入力作業のアルバイトが、面倒なので“え〜ぃ、これとまとめちゃぇ”ってやってしまったに違いない。こんなヒューマンエラーを作られると、現物の本を見なくては発見することは難しい。