ものの温まり方の可視化 <もののあたたまり方>

1 金属には フリクションマーカー (60℃)

銅版のあたたまり方銅版の準備

 銅板に熱が伝わっていく様子は、ロウを塗り付ける、サーモテープを貼るなどの方法でやってきた。ロウは一瞬で結果が出るので勝負が早い。ただし、光の反射で観察するために座席位置によっては見逃すことが多い。何度か使用した銅板は、ロウで覆われていても緑青が噴いてキタナイ。

 サーモテープは全面に貼るわけにもいかず、わかりにくいし、焦げ付いて後始末が必要。

フリクションマーカーで銅板の熱の伝わり方をフリクションマーカーで銅板の熱の伝わり方をフリクションマーカーで銅板の熱の伝わり方を

 そこで、フリクションマーカーを使っている。銅板に貼り付けたシールにマーカーで荒く塗りつぶして、熱にあててみる。

 ながく炎に当てているとシールは紙なので焦げる。結果が出始めたら火から外して観察し、結果を記録するのが指導上のコツ。

銅板と銅棒フリクションマーカーで実験フリクションマーカー注意書き

 このマーカーのインクは60℃で色が消える。文房具としては軸のラバーでこすってその摩擦熱で色を消せるというマーカーなのだ。温度が手ごろで、これなら火傷の危険性が少ない。

 便利なことに60℃以下に下がっても色戻りしない。ヒステリシスが強くて色が戻るのは-10℃あたりという。試しに銅板を冷凍してみたところほんのりと色が戻ってきた。

 次のクラスが実験に使うときには、そのまま上塗りしても良いが、全体を温めて色を消してしまうと良い。ま、実験後に子どもたちが勝手に色を全部消してくれることが多いのでそんな必要がないので助かる。

 フリクションマーカーは、実験専用なので使用後はポリ袋に入れて密封して保存している。一年で使えなくなるなんてヤだから。

2 金属には、サーモテープ (50℃、60℃)

銅棒のあたたまり方銅棒のあたたまり方銅棒のあたたまり方

 教科書にも出ているサーモテープを使って温度変化を可視化することが多い。でも、後始末が要る。次の実験前に溶けたり焦げたりしているテープを剥がして貼り替える作業だ。一部貼り替えるよりも、全部剥がしてサンドペーパーで磨いて新しく貼る方がキレイ。

 テープは反応温度が決まっている。高すぎないのを選択することが必要。50℃(黄)と60℃(赤)を使用している。

 テープの色変化を観察するだけでなく、手で触って温度を確かめることもさせたい。火傷をしない触り方ってのも実験のスキルの一つなのだ。

3 液体の温まり方の実感を (100℃)

水のあたたまり方水のあたたまり方水のあたたまり方

 水の温まり方も、銅棒と同じように手で温度を感じたいものだ。

 写真は、ガスバーナーを2台出して、二人で2実験。一人は試験管の下部を加熱し、もう一人は試験管の上部を温める。

 上部を加熱するのは先に素手で先生がやって見せた。試験管をじかに持っていると、「ボコボコ言ってるけど、熱くない」ってのが楽しい実験なのだ。下から温めるのは試験管ばさみは必須。人のいない方に向ける配慮も。

 すぐ結果が出る実験なので、水だけでなく、サーモテープ、示温インクなど温度を可視化できるものを入れて観察する実験をまとめてすることが出来る。

4 液体に、サーモテープは (50℃)

示温テープはよく縮む示温テープのやりなおし

 試験管の水の温まり方をサーモテープを入れてやってみた。業者が売っていたのは背にアルミ板を使っているので、熱伝導率が良くて全体の色が変わってしまう。そこで、プラスチックベースに変更してみた。

 試験管の上部を温めると上だけ色が変わる。下から温めると、全体の色が変わってしまう。一度色が変わると、温度が下がってもヒステリシスで元の色に戻る温度がそれよりも低いせい。

 試験管の水を入れ替えると表示がリセットされやすいので、上部を加熱、下部から加熱の実験を続けることが出来る。

5 液体に、液晶テープ (30℃)

液晶インクで示温リボン液晶インキ

液晶インキで水のあたたまり方液晶インキで水のあたたまり方

 液晶インクという高価なものが置いてあった。黒い画用紙に下塗りをしてから液晶インクを塗った。もったいないので、テープ状にしてパウチして使ってみることにした。

 コレの良い所はヒステリシスの無いこと。瞬時に色が変わり、すぐ戻る。赤の部分が30℃、青の部分が35℃だ。それ以外の部分が黒で、温度が高いのか低いのか考えなきゃってのが難点と言える。

 中の写真は試験管上部を温めたところ。試験管を立てると色は水平に変わってくれる。右は下から温めた結果。

6 示温インクを温めてみる (40℃)

示温インクで水のあたたまり方示温インクで水のあたたまり方示温インクを使って

 示温インクって便利なものがある。40℃で色が変わってくれるので、結果が出るのが早い。写真は、24mm径の太い試験管を使っている。

 温めると斜めにした試験管の上辺をピンクの液が上っていくのが見られる。上った液は上部に滞留している。見るだけでワカル。

 ゴム栓をしているのは、放置すると液晶が沈殿するので、逆さにして混ぜやすくするため。

 原液は薄めて使い、実験後は回収して保存しておくことが出来る。

7 液体に絵の具

教科書の対流教科書の対流

 液体や気体の温まり方ってのがクセモノなんだワ。確か、“グルグルまわるねん”って教えられたような気がするが、どうですか。

 もしそうなら、釜で沸かす風呂の湯が、上が熱くて下が水なんてことは起こらないはず。温まった水は上部に滞留するのであって、グルグルと対流するのではない。

 教科書の図を見ても下降流の矢印は描かれていない。上昇するだけだ。

水のあたたまり方水の対流

 それが観察しやすいって点では、おがくずやら繊維くずを入れて観察するより、絵の具は優れている。だから教科書が採用しているのであって、指導する時には、自分が習った知識を教えないようにしないといけない。

 茹でている素麺を見て、なるほどグルグル回ってるワ、ってのは、素麺などの固形物が水より比重が重いから下がってくるのだ。しかも、グルグル回っているのは沸騰状態であって加温途中ではない、この点が誤解の始まりなのだ。

8 液体に、ポリオキシエチレンアルキルエーテル (70℃)

水のあたたまり方洗剤で水のあたたまり方を調べる

 名前はややこしいけど、“おしゃれ着洗剤”、アクロンとかエマールって商品の主成分。買うときにこの原材料名を確認。実験にあたっては、湯に洗剤を混ぜると実験が早く進むので、ポットで80℃の湯を用意しておくといい。

水のあたたまり方洗剤で水のあたたまり方を調べる水のあたたまり方

 400mLの湯に20mLほど入れて加熱すると、70℃あたりから液が白濁する。

 (左)の写真は、加熱している部分から白いもやもやが立ち上がり始めたところ。(中)の写真は加熱中で、もやもやが上っていくのが観察できる。(右)の写真は、温まった水が上部に滞留しているところ。少々温度が高く、コンロの落ちそうな所にビーカーを置くのが難点だが、断熱版を使うとビーカーが安定するし、炎が集中するので見てわかりやすい。

対流実験観察台断熱板

 加熱にあたっては、ビーカーの端だけを温めたいので断熱版を使う。断熱版の穴をガスコンロの火口と合わせてビーカーを置く。

 片づける時には断熱版が熱を蓄えているので火傷への注意が必要。 

9 気体には、液晶インキのテープ

空気のあたたまり方空気のあたたまり方

 空気の温まり方も、グルグル回るのではない。空気が自ら回るのであれば、サーキュレーターなんてものが必要なハズがない。

 使用しているのは対流観察器。熱源はヒーターを電源装置で温めている。あたたまった空気が、液晶テープの色を変えていっている。35℃で色がかわる液晶インキはレスポンスが良い。

対流実験器で空気の流れを観察する

 中に入っている木片は、線香立て。短い線香をポイントに送り込んで煙の動きを観察する。そのために、長い柄をつけてある。空気の流れを予想してから、煙で確認してみるのがいい。煙自身は温められた空気なので上昇してしまうが、写真のように流れのある所ではなびいてくれる。

 推奨する電圧は、忘れぬようにヒーターに表示しておいた。9Vってのは最新の電源装置のフルパワーだ。

 注意しなくてはならないのは、液晶インキは敏感で、手の体温や、直射日光やレフランプなどの照明の光の輻射熱で反応してしまうこと。冬の直射光が差し込む班は注意が必要。

10 気体には、示温インクのテープ

気体の対流実験

 煙を観察する都合で、暗い背景の方が見やすい。作り変えるついでに、反応の早い液晶インキも良いが、示温インクを塗った不織布に変えてみた。40℃で色が変わる。過ぎたら黒に戻る液晶インキと違ってピンクのまま。

 

 

示温テープ


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最終更新日: 2020/09/21

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