炭酸水から二酸化炭素を取り出す実験装置 <特集>
- 2016年11月17日(木)
- カテゴリー:化学的教材
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「二酸化炭素を取り出す」をキーワードにたどり着く方が多いので、ウチの<水溶液の性質>の実験装置を紹介します。
器具棚に収納してある状態です。
ゴム栓はフラスコよりも小さなペットボトルサイズ。ボトルを振るので、ゴム栓側は割れても安全なプラチューブで、出口の水槽側は重たいガラス管で作っています。ゴム栓には間違わないように「PET」と表記しておきました。
そばに割り箸もセットしています。もちろん取り扱い説明書もパウチして入れています。
これにたどり着くまでには、いくつもの失敗があります。フラスコに炭酸水を入れて温める…、と。二酸化炭素は出てくるのですが、コンロを使ったのでは最大火力にしてしまうものだから、沸騰させてしまって水蒸気が出てきてしまう。二酸化炭素がもう出ない、という限界が分かりにくいのです。水上置換のガラス管を水に沈めたまま置いているものだから、水が逆流してフラスコが水で満杯になってる班がありました。事故の一歩手前って感じでした。
沸かさずに、湯につける程度で良いのです。でもねぇ、フラスコが浸かる容器を用意して、それに湯を配って回るってのがけっこう手間な作業。もっと簡単に取り出せへんのかいな、というズボラ根性がこの実験装置の発想の源。
で、作ったのがこの装置。装置というほどのものではなく、ほとんどがリユース品。プラチューブはガスボンベのノズルの再利用、ガラス管ゴム管は古い気体発生装置の再利用、ペットボトルも職員室のゴミ箱から拾ってきたモノ。割り箸だけが新品。炭酸水を沸かした時は2班で装置を1セット組んだけど、こんな簡単な装置だったら、水槽を共有するとして1班に2セット、つまり二人に一つの実験装置だって作れてしまう。
NET上で「生ビールの泡が無くなったら、割り箸を入れると復活する」って伝説が書かれていて、“それやんか!”と気が付いた。炭酸って、何かを入れると落ち着かなくなって泡立つんです。アイスクリームでも、砂糖でも、塩でも良いんです。表面がザラザラしているものとして、飲み屋で生ビールに割り箸を入れたってのは実にウマい発想なんです。
これを誤解したのか、「気の抜けたコーラを割り箸100本で復活させる」なんてユーチューバーが居て、見事に失敗してました。炭酸ガスが出てビールの泡が復活するのであって、炭酸が復活するんではナイ。逆にビールの気が抜けるのだ。
「炭酸割り箸」で実験してみましたが、「振れ!」って言ったもんだから左のようにシャカシャカとシャンパンファイトをやってしまったのが1年目。プラチューブが折れちゃいました。ガラスにしておかなくって正解。
「試験管に溜まる気体を見ながら、机の上でチャバチャバと揺する」って右の写真のような程度でやると、うまくいきます。炭酸水ボトル半分で十分に試験管2本のガスが取れます。捕集を失敗してガスが出なくなると、言わなくても炭酸水のおかわりを取りに来ます。
作らなきゃいけないのは、ペットボトルサイズのちょっとちっこいゴム栓の穴あけ。面倒なら、ペットボトルのフタに、観賞魚のエアチューブのジョイントを差し込むって方法なら、ドリルを使って作ることができます。
フタをねじて閉める時に、ボトル側を回すとゴム管がねじれることはないでしょう。
割り箸は一膳分、約10cm、半分に折って4本入れています。
そうそう炭酸水は、試験管や集気びんなどの準備が完全に出来たのを確認して、実験する直前にボトルに分けてやり、割り箸を入れて、ゴム栓をすること。あらかじめ分けておくと、取れるガスの量がグンと少なくなってしまいます。炭酸水は開栓後の鮮度がイノチ。
こんな割り箸を使う実験方法って、あまりNET上で見かけないですよね。ウチのオリジナルなのかねぇ?
詳細は各記事を読んで下さい。
「炭酸水から…」