総集編 <チョウを育てよう>
- 2017年07月17日(月)
- カテゴリー:┣チョウを育てる
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授業の一環として、教室などの学習環境を整備するためにここの画像資料を使用して掲示物にして、児童の学習・観察意欲を喚起することにお使いいただく場合は、著作者の権利が制限される範囲ですが、作者を励ます意味から上のコメントを書く欄からお知らせいただくとうれしいです。
モンシロチョウ
この3年余のモンシロチョウの飼育の画像総集編。モンシロチョウは産卵数が圧倒的に多いので教材として使われているが、多い分、天敵が多く成虫になる数が少ないので、襲われることがないようにしてうまく成長させるには経験が必要。他のアゲハなどの方が飼育はしやすい。
飼育の環境・準備
アオムシの飼育というと“キャベツ”と答えるのが普通。その食草を準備しただけではダメで、産卵しやすい環境づくりが大切。
左、中庭に並んだ一人一鉢のキャベツ。越冬していなくてやわらかい春キャベツが良い。中、産卵させるためには菜の花が近くに咲いているのが良い。他の花でもいいのだが、ダイコンの花などの菜の花は花数が多く開花期間も長いので便利。右、産卵が見られたら天敵の襲来を防ぎ、観察をしやすくするために上の階に移動させると良い。
左、食草はキャベツと思いがちだが、ベストではない。結球を始めると産卵したくなる柔らかい葉がなくなってしまう。右、若い葉が多いブロッコリーやハクサイなどの菜の花の方によく産卵するようになる。中、キャベツが結球をはじめたら収穫して、脇芽を伸ばして柔らかい葉を確保するのがオススメ。家庭に鉢を持ち帰るならブロッコリーがいい。つぼみの一部を収穫することが出来る。
交尾・産卵・孵化
交尾中のモンシロチョウ。くっついたまま飛んできて葉上にとまった。
左、産みつけたばかりのモンシロチョウの卵。中、産んで1週間たった卵は色が黄色くなっている。
モンシロチョウが産んでいった卵。右は卵と初齢の幼虫。約0.5mmの卵、生まれたての幼虫は約2mm。この大きさを見せておかないとなかなか見つけられない。子どもたちの眼なら、卵の縦すじの模様が見えるはず。産みたての卵は白く、孵化が近づくと幼虫の色の黄色になってくる。
成長・天敵
左、孵化したばかりの幼虫の大きさを爪楊枝と比べてみた。中、脱皮して2齢になった幼虫。おしりに脱いだ皮が残っている。右、1齢と2齢のモンシロチョウの幼虫。
左、モンシロチョウ以外の幼虫が育つことがある。これはヨトウガの幼虫。側線が白く、頭の色が違っていて、歩き方も違うので見つけやすい。4齢になるとヨトウムシの茶色に変わっていく。終齢では昼間は土の中で過ごし、夜間に爆食する。
左、3齢ぐらいになると葉表に出て来ることが多い。中、葉脈の上で見つかりにくいようにしているのかも知れないが、天敵は見逃さない。
左、天敵のひとつがアオムシコマユバチ。体長3mm程度のアリのような蜂が幼虫に卵を産みつける。サナギになろうとする頃に体を破って出てきて黄色い繭を作ってサナギになる。中、終齢幼虫を解剖してみると中にアオムシコマユバチの白い幼虫が大きく育っている。右、アオムシの内臓器官よりも多い量の蜂の幼虫が育っているのだから、寄生されてしまうととてもじゃないがサナギにはなれない。
アシナガバチがアオムシを捕まえて、肉団子にして巣の幼虫の餌として運んでいく。この他にもアオムシはスズメやトカゲに捕食されることがある。
蛹化・羽化
左、サナギになる時期になると、安全な場所を探して食草から移動する。理想は雨のかからない下向きの面。飼育ケースならフタでサナギになることが多い。中、右、葉裏でサナギになったモンシロチョウ。場所によって色を変えることがある。お腹と胸をべったりとつけているのがモンシロチョウのさなぎの特徴。
左が庭のブロッコリーの茎でサナギになっていた時の色、中と右は羽化が近くなって翅の色が見え始めたころ。
そのあくる日の朝に羽化した。右は抜け殻。
(左)飼育していると蛹が落下したり、落葉する葉でサナギになることがある。そんな時は、“さなぎポケット”に入れてやると羽化できる。(中)朝早くのチョウは気温が上がるまで葉などにとまって過ごしている。
アゲハチョウ
3年余のアゲハチョウの飼育の画像総集編。アゲハチョウは産卵数が少ないけど、食草さえ入手できるのなら飼育しやすい。
飼育環境
飼育するのに私はペットボトルを使っている。1匹1本のボトルを使うと個体管理もしやすい。
前蛹になったら割り箸立ての台に移動させる。教室なら斜めの台を作って壁にかけると倒したり落としたりすることが少ない上に、大勢で一度に観察できる。
産卵・孵化・脱皮
(左)ミカンの木に産んでいたナミアゲハの卵。(中)産卵するのは若葉。これは種子を蒔いたばかりの幼苗。あらかじめ剪定しておくと若葉が出て産卵が多くなる。(右)孵化直前の黒くなった卵。
(左)孵化直後は体長2mmほど。(中)2齢幼虫。ナミアゲハの白線はV字。(右)ミカンの木にいたナミアゲハの幼虫。
(左)トリのフンのような色で見つからぬようにしている。(中)脱皮して2齢から3齢に。(右)3齢から4齢へ脱皮中。黒から緑に変わる。
(右)ほぼ脱皮が終ったところ。(中)4齢から緑色に変わる。模様はやはりV字。(右)終齢幼虫。眼のように見えるのが目ではない。
(左)山椒にいた終齢幼虫。(中)糸をかけて丸くなって前蛹の状態。体長は短くなる。
蛹化・羽化
最後の脱皮をしてサナギになる
(左)蛹になると糸で体をつって反りかえる。枝で蛹になることが多い。(中)翅の色が見えるようになると羽化が近い。
1週間から10日で羽化する。翅に体液を送り込んで延ばしていく。
キアゲハ
飼育環境・産卵・孵化
アゲハが柑橘系の食草だが、キアゲハはミツバ、パセリ、ニンジンなどせり科の植物に産卵する。
食品スーパーで買ってきたものを食草として与えても、農薬のせいかうまく幼虫が育たない。終齢になるとかなり食べるので、無農薬で栽培した食草を十分に用意する必要がある。
(左)(中)三つ葉のプランターに産卵に来たキアゲハ。(右)パセリのプランターに産卵。
(左)ミツバに産んでいたキアゲハの卵。(中)黒いのは孵化が近い。(右)トリのフン色の幼虫。
脱皮・蛹化
パセリのプランター。(中)パセリで孵化したキアゲハ。(右)ポットのパセリで育つキアゲハ。
3齢から4齢に脱皮をしたキアゲハ。
(左)ミツバで見つけたキアゲハの幼虫。(中)大きくなると縞模様がつく。(右)ペットボトルで飼育しているようす。
(左)枝がわりの割り箸に登って前蛹状態に。(中)ペットボトルから出して、蛹化を待つ。(右)蛹化。
羽化
(左)蛹のなかで模様が出来ていく。(中)幼虫の足は、何本?。(右)羽化した大きさ。下の手は5歳児。
(左)枝につかまって羽化する。(右)羽根が固まるのを待って飛び立っていく。
ツマグロヒョウモン
飼育環境・産卵・孵化
(左)ツマグロヒョウモンの食草はスミレ。花壇のパンジー類の特に小さな花のビオラを好むよう。花の多い学校で飼育するのに向いている。
ポット植えのビオラで見つけたツマグロヒョウモンの幼虫。
赤と黒のトゲだらけの姿態をしている。有毒の幼虫を模しているんだとか。およそ触りたくない色と姿だが、指で触れても大丈夫な“毛虫”だ。
蛹化・羽化
(左)ペットボトルで飼育中。(中)前蛹はJ字型にぶら下がる。(右)サナギはとげが多く、金属色のトゲも持っている。金色が雌で銀色が雄なんだそう。
ぶら下がっているサナギの殻につかまって羽化する。
(左)雄。(中)雌。雌雄で模様が違う。(右)脚は一対が退化していて、4本足。