<特集>水の中の小さな生き物
- 2017年08月07日(月)
- カテゴリー:┗メダカを育てる
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教科書の中では、メダカのついでのように載っている水中の微生物。“適当に水を汲んできて、顕微鏡で見てみよう”なんてことではうまくいかない教材だ。授業をする前から準備をしておくと安心できる。
ミジンコ
担任が“ビオトープへ水を汲みに行くぞ”と、子どもたちを連れて出たので、アシスタントの私は急いでプールに向かい、ミジンコを採集し、池のアオミドロも採って用意しておいた。
検鏡を始めたが、ビオトープの上澄み水には見えるものがコレと言って無いらしく、次々にスポイトを手にミジンコを吸い取りに来るわ来るわ。そりゃそうだ、水だけすくってきたのでは居ないわな。泥やら石やら草のあたりをこすって取ってこなくては。
検鏡するんだったらやっぱり動くモンでしょう。その代表がミジンコ。肉眼でも見えるけど40倍程度の顕微鏡で覗いてみると、血液の流れまで見えて感動的なんだが、変なところが多い生き物。ミジンコは正面から検鏡することがないので気がつきにくいが眼が1個なのだ。
いつもはプールにプランクトンネットを放り込んで採集してくる。春先から発生している。それを口の広い容器に入れ、池の水、化成肥料、イースト菌を入れて飼育している。餌になるアオコの代わりに超微粉砕茶葉を使っているというボトル緑茶を薄めて入れるといいという人もいる。全滅することがあるので、2~3か所に分けて飼育すると良い。
落射光の顕微鏡だったら背景は黒の方が見やすいように思う。生育環境が悪くなると、雄が出現して耐性卵を作る。耐性卵は柏餅の中身、何かのタネという感じの形で、プールの周辺にへばりついていたりする。
ミドリムシ
メダカを明るい所で飼っている水槽の底のヘドロから採集できた。糞、アオコ、藻屑などが緑色のヘドロのようになっているといるみたい。
化成肥料を入れて明るい所に置いているだけで増えてくれていた。いたいた…ってボトルに移したので、イカダモを発見することができた。
ゾウリムシ
プール底のヘドロの中で見つけた。家の近所のドブのヘドロからも採ってみたが、しばらくすると腐敗臭のする水になってしまった。
見つけたら検鏡下でゾウリムシだけを選び出して飼育液に入れると良い。飼育液は、ミネラルウォーターにビール酵母製剤を1個入れたもので育てた。横に分裂するようで、くっついたまま移動している個体を見つけた。
ゾウリムシのように動き回るものはいろいろいる。外形と核の数が違うのでコレプスの仲間ではないかと思う。
アオミドロ
暖かくなったころからビオトープや屋外の池に綿のような藻が発生する。これの元気の良い所を採集してくると良い。
元気のない状態になると、細胞同士を接合させて次世代に託す用意をするみたいで、らせん状にきれいに並んだ葉緑体を見ることができなくなってしまう。
ボルボックス
ミジンコを補充しようとプールへ採集に行ったら、大量に発生していた。何のめぐりあわせか不明だが、プールで発生するものは2週間程度でその生態が変わっていくのかもしれない。
かなり大きな試料なので、顕微鏡の被写界深度の意味を教えるのに便利な写真が撮れた。“倍率が高いほど良く見える”んではなく、却ってドコにピントが合ってるんかわからんようになるってことが実感できる。
この試料なら40倍が全体をつかみやすく、100倍では一部がボケはじめ、400倍では何を見ているのかわからん、という写真だ。
そのほか
ゾウリムシのボトルで増えていたのがコレ。時々パコンと動いて食事をしているようで、ツリガネムシ、ワムシの仲間のようだ。その隣はケイソウの仲間のよう。
下は高等生物で昆虫のカゲロウの幼生。ほかに、ユスリカ、トンボの幼生のヤゴ、蚊の幼生のボウフラなどが見つかることがある。